榎本博一 奈良市議会議員

令和4年5月 建設企業委員会

奈良市開発事業紛争調整取扱い基準の一部改正のきっかけとなった具体的な事案について

(建築指導課長の答え) 
 改正のきっかけとなった具体的な事案は、令和3年、西大寺国見町でのマンション建設におきまして、開発者と隣接マンション管理組合との間で、調整が必要な事案が生じました。


(榎本)
 西大寺国見町のマンション建設をめぐり、住民と業者との間で調整の必要な事案があり、制度の利用が望まれたが、業者側から断りがあり実現に至らなかった。こうした中で、行政として市民に寄り添う制度設計を目指していこうということで改正に至ったという認識ですが、間違いございませんか。


(建築指導課長の答え)
 そのことを踏まえまして、今回の改正により開発者等及び周辺住民等、お互いが問題解決できるように、今後の業務につなげてまいりたいと考えております。

要望

 こうした紛争事案については、市民目線でということ、これは以前にも申し上げましたことですが、中立という市の立場は十分に理解をいたしますが、常に弱い立場に立たされる市民の思いに心を寄せてほしいと思っております。

 このことをこの委員会で取り上げるということを当該マンションにお住まいの皆様方とも昨日お話ししましたけれども、今まさしくこの隣地のマンションが建設中です。大変悲痛な思いを持っておられます。

 今回の改正については、まだまだ課題はありますけれども、こうした視点、市民目線で制度の在り方について考えていただいたことについては評価させていただきたいと思っております。このようなことが再び起こらないよう、引き続きこうした問題を取り上げてまいります。

開発行為地域内の道路について

(榎本)
 近鉄大和西大寺駅周辺地域においては、マンション建設、宅地開発、規模の大小を問わず開発行為が近年特に多く行われています。その中で、地域内の道路の損傷などの事案が多く発生をしております。道路ががたがたになった、また、補修していただいても継ぎはぎだらけである、あるいはトラックが通り、騒音、粉じん、こういったものの被害についての報告を受けております。

 市として、当該地域におけるこうした問題についてどのように認識をしておられますか。また、どのような対策を行っていますか。


(土木管理課長の答え)
 開発行為地域内の道路については、近鉄大和西大寺駅周辺を含め、問題があることは認識しています。

 また、対策として、開発行為に伴う工事用車両の運行経路となる市道については、開発業者が事前に警察や地域自治会等と協議を行い、国道、県道などの主要道路から開発地までの経路を決めており、市道については工事着手前の路面状況の事前調査書を作成させ、事前協議書の交換時に提出をさせています。

 工事完了後は、自治会等から道路損傷等の連絡があれば現場確認を行い、開発に伴うものであれば開発業者に補修をするよう指導しています。

工事完了後の路面状況の調査書の作成について

(榎本)
 工事完了後に道路損傷等の連絡があれば現場を確認して、それが開発に伴うものであれば補修するように指導していただいているということでございますが、それを住民の側から連絡を入れなくてもいいように、例えば工事完了後に路面状況の調査書を新たに提出させるとか、そういった取組について御検討いただけないでしょうか。


(土木管理課長の答え)
 工事完了後の路面状況の調査書の作成については、今後検討してまいりたいと思います。

要望

 地域にお住まいの多くの皆様方から、こうした周辺の開発に伴う住環境の問題について多くの御指摘を頂戴しております。

 道路の損傷により発生する騒音、美観の問題、まちづくりの理想というのは、そこに住まう皆様の声に真摯に耳を傾けていただきながら、立場に寄り添いながら、未来を見据え、取り組むべきものだと思っています。

 調査書の作成についても言及いただきましたので、必要な制度の在り方についてもぜひ御検討をいただきたい。

近鉄西大寺駅南土地区画整理事業の今後の流れについて

(榎本)
 近鉄西大寺駅南土地区画整理事業においては、令和3年3月に駅前広場などの公共施設整備工事も完了し、現在は換地処分に向けた業務を進めているということで聞き及んでいるところであります。換地処分の内容が各権利者に通知をされるまでの手続についてお伺いさせてください。


(西大寺駅周辺整備事務所長の答え)
 換地処分通知までの手続についてでございますが、西大寺駅南側の区画整理事業については、換地処分のために作成が必要な換地計画書の案を作成し、現在、換地計画の認可者である奈良県と事前協議をしているところでございます。

 県と事前協議が終われば、換地計画案について、近鉄西大寺駅南土地区画整理事業の審議会に諮り、その意見を聴くこととなっております。審議会の意見を聴いた後に、この換地計画案を2週間、公衆の縦覧に供させていただきます。公衆の縦覧を終えると、その結果などとともに認可権者であります奈良県に対して換地計画の認可申請を行います。県より認可が下りれば、各権利者宛てに換地処分通知を発送させていただくこととなります。




換地計画の公衆の縦覧について

(榎本)
 換地計画案は、2週間縦覧を実施するということでございますが、それは誰でも見ることができるのでしょうか。また、土曜日あるいは日曜日、祝日などの場合はどうなりますか。こういったときも見ることはできますか。


(西大寺駅周辺整備事務所長の答え)
 地区画整理法第88条第2項には、換地計画を2週間公衆の縦覧に供しなければならないと規定されております。

 公衆の縦覧では、誰もが換地計画の内容を見ることができます。

 縦覧の期間内に土日や祝日があった場合には、通常の平日と同じように縦覧ができるように、8時30分から1715分まで西大寺駅周辺整備事務所を開庁して対応させていただくことといたします。

換地処分通知後の事業の流れについて

(榎本)
 換地処分までの手続や2週間の縦覧における事務所の対応というものは分かりましたが、その後の事業終了までの流れについても、ご説明をいただけますでしょうか。



(西大寺駅周辺整備事務所長の答え)
 換地処分の通知をさせていただいた後は、権利者の皆様に通知が届いたことが確認できれば、県知事に換地処分の完了を届け出ます。この届出を受けて、県知事より換地処分の公告がされ、従前の土地の所有権、借地権、抵当権などが換地に移ることとなります。

 これと併せまして、登記されている内容も換地の内容となるため、登記簿の町名、地番、地目や地積の書換えを一括して法務局に申請いたします。

 登記の完了後に、各権利者への清算金の徴収、交付手続を行うこととなり、全ての精算金の徴収と交付の終了をもって近鉄西大寺駅南土地区画整理事業の完了となります。

要望

 地元の方と話をしておりましても、この仕組み自体が非常に複雑で分かりにくいものですから、当事者の方であってもきちんと伝わっていないというようなケースが多くあるように思っています。事務所への問合せ等も大変多いのではないかと思いますので、市民目線で丁寧に御対応いただきたい。

奈良市の公共下水の未普及箇所について

(榎本)
 下水道は市民生活環境の改善、公衆衛生の向上、及び河川等公共水域の水質保全を目的とし、市民が豊かな生活をしていく上で欠かすことができない重要な役割を果たしていると思います。

 奈良市では、令和2年度末において下水道普及率が91.5%ということで、市街地が形成されている区域ではおおむね下水道が整備されている状況であるというふうに考えております。

 しかし、つい先日、地元の方から自宅の前面道路に下水道管が埋設されていないという問合せがあり、調べてみましたところ、そこの周辺地域は下水道が全て整備済みなのに、一部の箇所だけが未普及となっていました。

 奈良市内において下水道の未普及箇所はまだ多数存在しているわけですが、それは前面道路が私道であることが多いのでしょうか。



(下水道事業課長の答え) 
 奈良市内において、下水道の未普及箇所はまだ多数存在するのかについてですが、委員お述べのとおり、下水道普及率は90%を超えており、おおむねの区域では整備済みとなっておりますが、まだ未普及箇所は多数存在いたします。

 一部では公道の部分で未普及箇所が残っておりますが、その残っている箇所のほとんどは私道部分となっております。

私道で下水道普及が進まない理由について

(榎本)
 私道で普及が進んでいない理由についてもお答えをいただけたらと思います。



(下水道事業課長の答え)
 私道内での下水道の整備について、企業局では私道内下水道管布設基準を設けておりまして、一定の基準が満たされていれば、所有者や住民に代わって企業局が下水道管を布設することとしております。

 その布設基準ですが、2軒以上の申請があること、また、1軒当たり10メーターを限度とした管渠の布設、また、管渠布設に対しての土地所有者の使用承諾書の提出などであります。

 下水道普及が進まない理由の一つとして、これらの基準の中で土地の使用承諾が得られないケースが過去には多く見られます。その土地所有者が近隣の方であれば承諾を得られやすいとは思われますが、所有者が破産した法人の場合などは承諾書を取得することが困難となり、下水道管の施工が不可能となります。

土地の使用承諾が得られないケースでの下水道管を布設する方法について

(榎本)
 所有者が破産した法人の場合などは承諾書を取得するのが困難で、下水道管の布設が不可能だというお話がありましたが、こういったケースで下水道管を布設する方法というのはございませんでしょうか。



(下水道事業課長の答え)
 土地の使用承諾が得られないケースでの下水道管を布設する方法についてですが、企業局のホームページには、私道内下水道管布設基準と同じところに、法人が破産している場合の承諾書の取得方法について記載をしております。

 破産手続の際の清算人が現存される場合は、その清算人から承諾を得ることで布設基準を満たすこととしておりますが、清算人が亡くなられていたり、会社が未清算の場合には、地方裁判所への清算人選任申請を行うことが必要となります。

 ただし、この清算人選任申請には数十万円の費用が発生し、住民の方の個人負担となるため、断念されることが多くなっております。

所有者不明土地問題の解決に向けた取組について

(榎本)
 公道と比較をして、私道であるという理由で公共下水道等を布設するのに多額の費用がかかるということは、我々市民にとり理解しづらいと思います。

 令和3年4月に民法改正がなされまして、所有者不明の土地問題の解決に向けた取組が改正されたということでありますが、こうしたことを踏まえて、そのほかの解決策というものを御検討いただくということはできないでしょうか。


(下水道事業課長の答え)
 所有者不明の私道のインフラ整備につきましては全国的な問題となっており、国土交通省でもこの問題の解決に向けて取り組んでおります。

 平成30年1月には、共有私道の同意等についてのガイドラインを取りまとめられております。その内容は、私道の共有者全員の同意は不要で、共有者の持分の過半数の同意でいいというもので、一歩前進した形となっております。

 また、委員が述べられたように、令和3年4月には所有者不明土地問題の解決に向けた取組として民法が改正されました。改正された内容の一部ですが、住居地でない隣接地等のライフライン設備の設置及び使用権が承諾から通知に変更されることとなっております。先ほどの事例に当てはめますと、清算人選任申請が不要となり、個人負担がかなり軽減されることとなります。

 この改正された法律の施行日は令和5年4月となっておりますので、今後は変更内容等を十分検討し、私道の下水道整備を促進していきたいと考えております。

要望

 下水道の整備は個人宅の資産価値にも大きく影響してくることと思いますので、今後の継続した取組に期待を申し上げます。

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