榎本博一 奈良市議会議員

令和4年1月 建設企業委員会

奈良市総合交通戦略について

(榎本)
 アウトライン、概要について、都市や地域における安全で円滑な交通の確保と、将来を見据えた魅力あるまちづくりを進めていくため、令和元年10月から国、県、市、交通事業者、道路管理者、警察、地域の代表者、学識経験者等で構成される奈良市地域公共交通会議において協議し、関係者が一丸となって策定をされたということでございましたが、このような計画を策定するときには、関係者だけでなく広く市民の声を聴いていただくことが大変重要だと考えます。この点につきまして、どのようにお考えかお聞かせください。


(都市政策課長の答え)
 市が総合交通戦略のような計画等を定めようとする際には、事前に広く一般から意見を募り、その意見を考慮することにより行政運営の公正さの確保と透明性の向上を図ることは重要だと認識しているところでございます。

 総合交通戦略におきましては、奈良市地域公共交通会議で議論を重ね作成した案につきまして、令和3年11月4日から令和3年12月3日までの30日間におきましてパブリックコメントを実施し、広く市民の方等から意見を募集いたしました。

パブリックコメントの意見数と対応について

(榎本)
 パブリックコメントを実施するということは、これは大変重要なことであるというふうに考えます。広く集まった意見を全て反映していくということは、これは大変難しいことではございますが、意見の中には、行政の視点だけでは気がつかないような希少なものもたくさんあろうかと思います。

 そのような意見を参考にする、耳を傾けることでよりよい計画がつくられていくものというふうに考えていますが、今回は全体でどの程度の意見が集まりましたでしょうか。また、その意見に対してどのような対応をされたかをお聞かせください。



(都市政策課長の答え)
 3人の個人の方と1つの団体から計81件の御意見をいただきました。いただいた御意見につきましては、パブリックコメントの募集要項に基づき御意見の要点を整理した上で、それに対する市の考え方を示させていただき、その内容及び理由を市のホームページ上で公表しております。

 なお、公表した意見は全部で22件あり、そのうち9件を総合交通戦略案の修正等に反映しておるところでございます。

総合交通戦略の中身について

(榎本)
 総合交通戦略の中では、地域によって交通に関する課題が異なることから、東部地域、中部地域、西北部地域の3つの地域別に目標を設定され、その目標に対して個々の主な施策や事業等が記載をされておりました。

 中部地域や西北部地域に比べ、東部地域は高齢化率が非常に高く、その上鉄道がなく、バスの運行本数も少ないため、既に自家用車を運転できない住民の方の移動手段の確保が喫緊の課題となっているということでございました。そして、重点事業の一つとして、生活路線バス及びコミュニティバスの利便性の向上、効率化、スクールバスとの連携等ということでございましたが、これが挙げられておりました。

 昨年度に引き続き、本年度も9月からコミュニティバスの実証運行を実施されていると思いますが、この概要について改めてお聞かせください。


(都市政策課長の答え) 
 本年度の柳生地区のコミュニティバスの実証運行の概要は、令和3年度は、昨年度の柳生町から大保町を経由して下水間、都祁行政センターへ向かうルートと、柳生町から興ヶ原町、邑地町、北野山町、丹生町を経由して下水間、都祁行政センターへと向かうルートに加えて、新たに柳生地区内を循環するルートを設定し、9月より3ルートで実証運行を開始いたしました。

 運行日数は、毎月各ルートを2日、1日1往復運行している状況でございます。

実証運行のルート別の利用人数について

(榎本)
 昨年度の実証運行を経て、今年度は新たに地区内の循環ルートを設定して運行しているということですが、その新しいルートも含め、それぞれのルート別の利用人数をお聞かせください。


(都市政策課長の答え) 
 令和3年12月まで4か月の実績となりますが、大保町を経由するルートの利用者は38人で、1日1便平均5人です。興ヶ原町、邑地町、北野山町、丹生町を経由するルートの利用者は52人で、1日1便平均約7人でございます。また、柳生地区内を循環するルートの利用者につきましては32人で、1日1便平均4人という状況でございます。

令和4年度から本格運行になる可能性について

(榎本)
 実証運行という言葉を聞きますと、この実証運行は平成26年度に敷島町一丁目、二丁目地区においてコミュニティバスの実証運行がなされておりました。このときの1日の平均人数が22人程度だったということで、1便平均1.26人というような数字だったというような話を聞いております。

 敷島町の実証運行では、結果的に利用者の少なさから本格運行に至らなかったという状態でございますが、今回の実証運行は令和4年度から本格運行になるのでしょうか。


(都市政策課長の答え)
 平成26年度に実施しました敷島町での実証運行は、中央市街地地域のモデル地区として、公共交通空白地対策だけでなく、民間の交通事業者が1便当たりの利用者がある程度あると見込んで、新規路線としての運行経費が賄えるかどうかを検証する目的もございましたので、東部地域のように民間の交通事業者やタクシー等の代替交通の対応の難しい地区におきまして、市が主体として実施する実証運行とは目的が違うと認識しております。

 東部地域の実証運行につきましては、令和4年度は令和2年度と令和3年度の実証運行での御利用状況の検証や実際に利用されている方の御意見なども踏まえ、柳生地区自治連合会とも相談をしながら、引き続き運行していきたいと考えておるところでございます。

 また、一定の御利用がないと運行を続けていくことが難しくなるため、本格運行に向けましては、通年運行とすることで利用者の定着を図る必要もあると考えておるところでございます。

今後のコミュニティバスの実証運行について

(榎本)
 柳生地区のコミュニティバスの実証運行は令和2年度から開始され、本年度も実施されており、来年度も継続を検討しているということでございました。今後のコミュニティバスの実証運行、これ、敷島、柳生に続いて他地区においても検討されるつもりはございますか。


(都市政策課長の答え)
 柳生地域のコミュニティバスの実証運行は、東部地域の公共交通空白地域の解消など、現在抱えている地域課題の解決のためのモデルケースとして実施しております。今後は、他の地区においても可能な範囲で実証運行を実施していきたいと考えているところでございます。

交通課題の今後の検討方法等について

(榎本)
 各地区においてそれぞれ交通課題、求められるものというのは違ってくるかと思いますが、今後どのような方法でそういった意見集約を行い、検討して実行していくのでしょうか。


(都市政策課長の答え)
 令和4年度は東部6地区、柳生、大柳生、東里、狭川、田原、月ヶ瀬(既にコミュニティバスがございます都祁地域を除きます)を対象に、東部の交通を考える意見交換会というワークショップを令和3年8月と10月に2回実施いたしました。さらに、ワークショップを通して顕在化しました地域課題につきまして、令和3年11月から12月にかけて地区内のヒアリングも実施いたしました。

 ワークショップやヒアリングで地域の皆様から聴取いたしました意見を踏まえながら、各地域のニーズに合った手法やルート設定の検討を行い、令和4年3月の実証運行に向けて取組を進めておるところでございます。

要望

 コミュニティバスの実証運行は、地域の実情に即して、移動手段がない高齢者の方の買物や通院といった日常活動を支える大事な足となっていると思います。コロナ禍でありまして、利用者が当然なかなか伸びてこないということになってくるかと思いますが、必要とされておられる方々がたくさんおられますので、そういった意味でもしっかり今後も丁寧に取り組んでいきたいと思います。また、今後もこうした交通課題にしっかりと取り組んでいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

奈良市が管理をする橋、橋梁について

(榎本)
 奈良市の管理する橋の安全性について、点検の状況とその結果をお聞かせください。


(道路インフラ保全課長の答え)
 奈良市が管理します橋の長さが2メートル以上である659の橋梁につきまして、平成26年度から平成30年度にかけて1巡目の点検を行い、その結果を基に健全性を4段階で評価しております。

 Ⅰ判定は健全であり155橋、判定は予防保全段階であり457橋、判定は早期措置段階であり44橋、判定は緊急措置段階となり3橋でありました。

 また、令和元年度からは2巡目の点検を行っており、令和元年度は95橋、令和2年度は193橋について実施し、令和3年度は124橋を実施しているところでございます。

橋梁以外の構造物、例えば歩道橋やトンネルなどの点検について

(榎本)
 橋梁以外の構造物、例えば歩道橋やトンネルなどの点検も行っておられますか。種類はどんなものがございますか。現在の点検状況と併せてお伺いさせていただきたい。


(道路インフラ保全課長の答え) 
 道路管理者が管理し、法に基づき定期点検を行っている構造物は、横断歩道橋が17基、トンネルが3基、大型カルバートが5基、門型標識が1基であります。

 これらの大型構造物につきましても、橋梁と同様に平成26年度から平成30年度にかけて1巡目の点検を行っており、今後も5年に1度の定期点検を実施してまいることとなっております。

あやめ池南九丁目の蛙股池に架かるあやめ新橋の健全性について

(榎本)
 あやめ池南九丁目の蛙股池に架かるあやめ新橋の健全性について点検結果と現状の認識についてお聞かせください。


(道路インフラ保全課長の答え) 
 あやめ新橋については、平成30年度に1巡目の定期点検を行っております。点検では、コンクリートのひび割れや鉄筋の露出などを近接目視により、また、コンクリートの浮きを打音検査により確認しており、総合的な評価といたしましては判定の早期に措置を講ずべき状態でありました。

今後の修繕あるいは耐震化の予定について

(榎本)
 今後の修繕あるいは耐震化の予定についてお答えいただけますでしょうか。


(道路インフラ保全課長の答え)  
 早期措置段階であるⅢ判定の橋梁について、優先的に長寿命化修繕工事を実施してきており、同じくⅢ判定であるあやめ新橋についても早期に修繕工事を行う必要がありますが、橋の長さが85.27メートルと長く、規模も大きな工事となりますことから、経済性、施工性を考えると、耐震補強と併せて実施することも含め検討してまいりたいと考えております。

橋の架け替えについて検討される余地について

(榎本)
 橋の架け替えについて検討される余地はございますか。


(道路インフラ保全課長の答え)   
 経済性、施工性を考える中で、修繕や耐震について様々な方法を検討し、総合的に判断してまいりたいと考えておるところでございます。

要望

あやめ新橋は1966年の完成でございますので、間もなく完成から56年の年月が経過しようとしています。通学路にもなっている場所でございます。

 緊急輸送道路でなくても車が通らなくても、その公共性というものを鑑みたときには極めて優先順位の高い橋であると認識をしております。こうした状況を踏まえ、できる限り最良の形で早期の対応をお願いしたい。

令和3年度農地災害復旧事業について

(榎本)
 令和3年6月15日、16日、そして7月7日から9日、この間の豪雨による農地災害、河川災害等について復旧の進捗状況等につきましてお伺いさせてください。


(河川耕地課長の答え)
 被害は、令和3年6月15日から16日に発生した6月豪雨災害の日笠での1か所と、令和3年7月7日から9日に発生した7月豪雨災害の中畑町、山町、荻町での3か所の農地災害がでした。

令和3年9月15日に国による災害実地査定があり、4か所とも事業選択されました。

 負担割合は、通常、国が50%、市が30%、個人負担が20%でありますが、令和3年8月31日に閣議決定された政令により、令和3年5月11日から7月14日までの間の豪雨による災害につきまして激甚災害として指定されたため、個人負担についての軽減が図られる予定であります。

 進捗状況は、令和3年7月豪雨災害の3か所、畦畔復旧工事につきましては、令和3年12月末に工事が完了いたしました。令和3年6月豪雨災害の畦畔復旧工事につきましては、令和4年2月上旬に工事が完了する予定です。

令和3年7月豪雨による河川被害箇所の進捗状況について

(榎本)
令和3年7月の豪雨による河川の被害箇所について、令和3年12月の議会で補正予算がついたところでございますが、こちらの復旧の進捗状況はいかがでしょうか。


(河川耕地課長の答え) 
 令和3年7月7日から9日に発生した豪雨の影響により被災した和田町ほか9か所につきましては、令和3年12月議会で補正予算が措置されましたので、自治会や工事に関係する土地所有者との調整を行い、令和4年度内の完成に向けて進めております。

要望

 早期に復旧していただいたということで、農家の方も喜んでおられるというふうに感じております。こうした事案が一たび発生をすれば、農家の方にとって農地の耕作、維持管理、ひいては生活上大きな支障が生じますので、引き続き早期復旧に取り組んでいただきますように要望を申し上げたいと思います。

 また、災害に強いまちづくりに取り組んでいく必要性を改めて痛感するものであります。

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